デビルサマナー特上ハラミ

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あるサマナーの生涯1

「冗談きついぜ、これでどうやって地上まで行けってんだよ」

「あははは、でもそれがお前の能力にあった道具なんだろ」

「俺は何かなと、おおナイフじゃん」

「いいねー解りやすくて」

俺の隣で二人の若者がそれぞれのロッカーを開けてその中身に一喜一憂している。
ちなみに彼らのロッカーの中身は一人は先ほどのナイフとリュックに入った水と乾パンだ。
なるほど、確かにナイフがあればまったく戦闘経験の無い素人でもすぐにやられることは無いだろう。

そしてもう一人のほうは・・・・

なんと! ナイフの替わりにピン○ローターが入っていた。
他の物はまったく同じだが、こんなものが一つあったところで何が出来ると言うのか、まあたとえ二つあっても変わらないだろうが。

その内容を見つつ俺もそろそろロッカーを開けることにする。
ピン○ローターでないことを祈るばかりだ。
ゆっくりとロッカーを開いた先には、メリケンサックが一組とサングラスが入っていた。
そして他には何も入っていなかった。

・・・・・・・・・何故、水と食料が無いんだ?

まわりを見渡してみると、みんなナイフやピン○ローターの替わりに色々な物が入っていたようだが、みんな水と食料は必ず入っているというのに!
すると突然モーター音が聞こえたので、振り向くとミスターローターが慰めるように俺の肩を叩いていた。
あまりの悔しさに俺は何も言わずにロッカールームを出た。


そうあの放送を思い出しながら。




そこは市民体育館ほどの大きさの部屋で、窓は無く唯一の出入り口と思わしき金属製の扉があるだけだ。
その周りには数人の人だかりが出来ている。

「おい、やっぱり開きそうも無いぞ」

「やっぱり閉じ込められたのよー! もうここから出られないんだわー!!」

「ちょっと退いてな、力ずくでも開けてやる」

そう言って体格の良い男が無理やり扉を開けようと、少しずつ後ろに下がり体当たりしようとした時、突然ピンポーンというチャイムが鳴りそしてあの放送が始まった・・・・


「皆様、おはようございます只今より能力開発訓練を開始します」

その声は聞き覚えの無い合成音声だった。
それによって、今まで部屋の出口が他に無いか調べていた50人程と、唖然と立ち尽くしていた俺を含む100人程、そして先程のチャイムで目を覚ました150人程が、一斉に声のする天井のスピーカーの方を振り仰いだ。

「現在地上では様々な種族の悪魔が、幾つかの勢力に別れて争っています。
その争いで地上に残っている人類はその殆どがあるものは食われ、あるものは洗脳され捨て駒として使われ、あるものは囚われて命を絞りとられています。
またその他の逃げ延びた人々も何時訪れるかわからない死の恐怖に怯えて暮しています。

皆様は、世界がこうなる事を事前に予期していた[S]によって集められた、この世界を切り開いて生きていくことの出来る可能性を秘めた方々なのです。
しかし今のままでは何も出来ずに殺されてしまうでしょう。
ですので皆様には、この訓練用に造られた地下10階層のダンジョンを攻略していただきます。
このダンジョンは

隅数階:各種施設

奇数階:悪魔の徘徊する迷路

となっており、もちろん階層が上がるにつれて悪魔は強力に迷路は複雑、広大になってゆきます。
各階層を繋ぐ階段には強力な結界が張られており上階の悪魔が下階に下りてくることはありません。

また訓練期間は1年間とし、それ以降は各種施設に対する最低限の物資搬送は停止します。
まずは地下10階のロッカールームに皆様の能力に合わせた初期装備が準備してあります。
ロッカーまたその中身はその個人専用の物ですので原則的に、交換、強奪などは禁止です。
悪質な場合はその後の各種施設の利用を禁止します。

各種施設の利用法ですが、詳しくは施設係員にお問い合わせ下さい。
それでは幸運を」


「嘘だろ世界が滅んだなんて・・・・」

「それに何よ訓練って、今まで喧嘩もしたこと無いのに絶対に無理よ」

「何にしてもこのままここにいても仕方ないだろ」

「そうは言っても、この頑丈そうな扉は閉じたままだぜ」

そのとき、扉とは反対の壁にスクリーンが下りてきて、地上の映像が映写され始めた。
初めのうちはいつもと変わらない風景だったが、それがまばゆい光と共に一変した。
木々は枯れ果て、噴水は凍りつき、天高く聳えるビルは次々に沈んでいった。
またビルから出てきた人々は、その多くがビルと共に沈んでいった。
そしてビルや人々の飲みこまれた泥からは、異形の化け物が這い出してきた。

その後は似たような映像が続き、映像の終了と共に金属製の扉が重い音を立ててゆっくりと開いた。

テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/11/03(金) 14:22:58|
  2. 小説
  3. | コメント:2

あるサマナーの生涯2

ロッカールームを出た先の光景は、本当に人類が滅亡の危機に瀕しているとは到底信じられないような光景だった。
かなり高い天井に、強烈な光を放つ照明が20メートル程の間隔を空けて並んでいる。

横幅は50メートル程だが、奥行きは正確には解らないが恐らく次の階への階段らしき物がうっすらと見えることから、大手のデパートと大体同じぐらいだと思われる。

左右の壁には洒落た内装の店舗が一番奥の方まで続いている。
俺の他にもロッカールームを出てきた連中が、唖然としてこの光景を見ている。
何人かの女性は早速ウィンドウショッピングを始めているようだ。

俺もこうしてばかりもいかないので、照明の電力がどこから来ているのか? などとどうでも良いことに首を傾げながらも店の中に入ってみた。


ぱっと見た感じだとこの店は武器屋のようだ、綺麗に整頓された品物は剣、槍、鞭、短剣、斧、等の中世風の物から銃、手榴弾のような物まで置いている。
俺にはどのように使うのかも解らないような物も数多くあるが恐らく武器なのだろう。
何気なく見ていたルガーP95DCの値札を見て思わず声を出してしまった。

「1200円!? 安過ぎる、中学生でも買えるだろう・・・・さすがにまずいんじゃないか?」

確かさっき見た女の子の中にも小学校高学年ぐらいの子が居たはずだ。
小さな女の子が銃を手に悪魔に立ち向かう、想像しただけでもあぶなっかしい。
だが何故かそれも良いかもと思ってしまう自分が怖い。

「お客様、なにかお探しですか」

俺がそんなことを考えているのがばれたのか、店員が声をかけてきた。

「あ、いや銃というのはこんなに安い物なのかと思って。
それとも弾がすごく高いとか?」

「いえ、弾の値段はこちらのノーマル弾で一発10マッカ、20発セットで180マッカになります」

「マッカ? 円じゃないんですか」

「はい、このダンジョン内では現在の地上の通貨であるマッカが流通しています」

「ということはこの金はもはや只のゴミか・・・・」

あまり辛いバイトでは無かったが、それでも五万円が一瞬でゴミ同然とはさすがにへこむ。

「いえ、9階層への階段前にある銀行で1マッカ100円で両替できますよ」

「1マッカ100円か・・・・まあ捨てるよりはマシだろう」

ということはルガーP95DCは一丁12万円、ノーマル弾一発千円か、さすがに手が出ないな。

「マッカは銀行以外ではどうすれば手に入るか教えてもらえませんか?」

円をマッカに替えてたとしても、たった500マッカではそう何日ももたないだろう。
何とかして金を稼がねば野垂れ死にだ。
特に俺は他の連中と違って水も食料も無いからな。
う、目から水が・・・・いやこれはっけして涙じゃない、心の汗だ。

「そうですね、基本的には9階層以降に出てくる悪魔を殺した時に出てくる結晶『生体マグネタイト結晶』を、銀行のむかいにある生体エナジー協会で換金することで手に入ります。

後はお客様の持ち物を売却するぐらいしか」

「そうですか、有難うございます。
じゃあとりあえず銀行に行って来ます」

「はい、またのお越しをお待ちしております」


とりあえず銀行で両替してもらおうと店を出たところで聞き覚えのある怒鳴り声が聞こえてきた。

「ふざけんじゃねえ!! 持ち物を買取ってくれるって言うからわざわざ来たのに、これは買取れないってのはどう言うことだよ!!」

「そんなことを言われましても、こんな大事なものを売るなんてトンデモナイ」

「これのどこが大事なもんなんだ!!」

そう言って男がカウンターに叩きつけた物はやはり、ピ○クローターだった・・・・
いやそれは買取ってもらえないだろう。

「さっきの女のやつは買取ってただろ!!」

おいおい本当かよ。
と言うか女が売ってるとこ見てたのかよ、想像してみたらかなり怖いものがあった。
そりゃ初期装備の中にピ○クローターが入っているわけだ。

「先程の女性のものは、完全な私物ですから」

「これも完全な私物ってやつだろ!!」

どうでもいいがあんまり大きな声で私物、私物と言わない方がいいんじゃないだろうか。
あそこの女の子なんか指差して笑ってるぞ・・・

「いえ、お客様のものはCOMPのようですので」

「COMP? コンプかダンプか知らないが、いいから買い取れよ!!」

「お客様、そのCOMPを持ってホテル業魔殿に行かれることをお薦めします」

「ああん!? ピ○クローターなんかホテルで買取ってもらえってことかよ!!」

「またのお越しをお待ちしております」

「ざけんな! 二度と来るかボケ!!」

そう言ってミスターロ―ターは慌ただしく出ていった。
店員は肩を震わせて俯いている。
俺はあまりのことに居たたまれなくなって声を掛けた。

「ま まあ、あんまり気にしない方が良いですよ」

「いえ、あ あのお客様のお お気持ちは解りますので」

そう言って店員は言葉を詰まらせながらもなにかを堪えるかのような引き攣った笑みを浮かべながら応えた。
よっぽど辛かったのだろう。
だが、俺もさっきの会話に出てきた『COMP』というものについて、どうしても聞いておかなければならないような気がしたので、未だ肩を震わせている店員に質問をすることにした。

それがなにを意味するかもしらずに・・・・・・・・・・・・・・・・・

  1. 2006/11/03(金) 14:24:30|
  2. 小説
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  4. | コメント:0

あるサマナーの生涯3

ミスターローターの言葉に酷く傷ついたであろう店員が落ち着くのを待って俺は話しかけた。

「少しお聞きしたいことがあるのですが」

「すいません、御見苦しいところをお見せして。どういったご用件でしょうか」

「先程仰っていた『COMP』というのは何のことなんでしょうか」

『COMP』の話が出たとたん店員の雰囲気が少し厳しいものになった。

「申し訳ありませんが、『COMP』についてはそれを持っている方にしか・・・・」

そこまで言って店員の視線が、俺の身に着けている新品のメリケンサックににそそがれる。

どうやらこの店員俺の身に着けているメリケンサックがかなりの値打ち物だということに気付き、どうやってこの田舎物から巻き上げてやろうかと思考をめぐらしているようだ。

「あの、もし宜しければそのメリケ「断る!!」

やはりそうらしい、これまでの俺の態度が丁寧だったため、いいカモだと思われたようだ。
やはり街の人間は恐ろしい、初対面の人間を騙そうとするとは!!
ここは断固たる態度で対応すべきだろう。
数瞬、唖然としていた店員だがすぐにもとの笑顔に戻り俺を説得すべく話しかけてきた。

「どうやら、お客様のメリケンサックは『COMP』のようですのでその確認をさせて頂きたいのですが、宜しいですか」

「何と言われようともこのメリケンサックを譲るつもりは無い!!」

言ってやった。ここまで言われればさすがにこの店員も諦めるだろう。
何が『このメリケンサックが『COMP』かもしれないから確認させてもらいたい』だ、そう易々と騙されるものか!!

・・・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・・

・・



んん?・・・・・気のせいか話がかみ合っていないような
・・・・・客・・・メリケン・・・『COMP』・・・・確認・・・・
店員の様子を見ると先程と同じ笑顔でこちらの反応を窺っている。
どうやら俺の勘違いのようだ。

「すみません。どうやら何か勘違いをしていたようです」

「いえいえ、お気になさらずに私の聞き方が拙かったのでしょう」

「そういって頂けると助かります」

「それで『COMP』の事なのですが」

「ああ! 確認でしたね、どうぞ見てください」

そう言って渡したメリケンサックを店員は暫らく眺めた後、納得したのかこちらに返してくれた。

「どうやら本物の『COMP』のようですね、しかしメリケンサック型COMPとは珍しい・・・」

「それで『COMP』というのはいったい何なんですか」

「そうでしたね『COMP』というのは悪魔と会話したりその結果、契約した悪魔を召喚し、使役することの出来る『悪魔召喚プログラム』の入ったコンピュータのことです」

「悪魔と会話できて、悪魔を召喚し使役するですか? しかしどうやって」

「そこまで詳しいことまでは、私も解りません。
ですがその『COMP』を作った本人が『ホテル業魔殿』にいますので、9階層へ行かれる前に一度立ち寄ってはいかがでしょう」

「『ホテル業魔殿』ですか凄そうな名前ですね」

「『ホテル業魔殿』のある場所は、9階層へ続く階段の前にある銀行の近くだったと思います。

特徴のある外観なのでひと目で解りますよ」

「じゃあ銀行に行った後にでもよることにします。

いろいろありがとうございました」

「またのお越しをお待ちしております」

そういえばさっきの店、何の店だったんだ?そう思って後ろを振り返ってみると『おとなのおもちゃ(ちゃむちゃむ)』というサイケデリックな色の看板が見えた・・・・・・・・・・

なぜ武器屋の隣に??????

そして俺は『ホテル業魔殿』へと向かった。


『ちゃむちゃむ』の店員に言われた通りに『ホテル業魔殿』に向うことにしたのだが、その前に『銀行』で、円をマッカに両替にする事にした。
さすがにホテルに行くのに文無しではまずいと思ったのだ。

『銀行』は思ったほど華美な装飾はなされていなかった。
これでは、両隣にある『銭湯』と『占い屋』の方が派手なぐらいだ。
しかし、外観を見ただけでその建物が銀行だと解るのはさすがだろう派手ではないが、けっして地味ではない銀行特有の空気が感じられる。

内装も洒落た感じはしないが、品良くまとまっている。
ここまではほぼ完璧なのに、その場から浮いている存在がいる・・・・・・・・・・・銀行員達だ。

彼らは主にヨーロッパ方面で有名な子鬼『ゴブリン』だ。
銀行員だからなのか、全員同じ色のスーツに三角帽子を被っている。
俺の他にも客は数名いるのだが、みんな戸惑っている様だ。

それもそうだろう今まで半信半疑だった悪魔の存在がハッキリしたのだから。
俺はとりあえず受付けらしき場所に座る『ゴブリン』に話しかけた。

「円をマッカに両替したいんだが」

「現在のレートは1マッカ98円ですがそれでいいか」

「ああ、頼む」

その様子を見て安心したのか、他の客達も動き出した。

「五万円で510マッカになるがそれで宜しいですか」

「それでいい」

「ありがとよ」

「いくらか円が残っているはずだが」

「それは俺達の手数料になります。解ったらさっさと帰りな」

確かにそれもそうか、と思い『銀行』を出る。
だいたい悪魔がボランティアで働くなどありえないだろう。
『銀行』を出て直ぐに『ホテル業魔殿』が見えた。

ちゃむちゃむの店員の言っていた通り、特徴のある外観だ。
どうやってこんな地下に造ったのか不思議なくらいの大きさの船の一部が壁から、せり出している様に見える。
どうやって入るのかと思えば、豪奢な階段が甲板のほうにかかっている。
暫く見ていると、階段の上の方から『ミスターローター』の不気味な含み笑いが聞こえてくる。

「ふふふふふ・・・・これさえあれば・・・・・・・・・でゅふふふふうっふ」

などと言いながら、ピン○ローターを片手で吊り上げ、壊れた笑みを浮かべゆっくりと階段を降りてゆく。
これ以上、彼に関わるのは非常に危険な気がしたので、下を向いて彼が通り過ぎるのを待った。
彼の発する瘴気をやり過ごしたあと改めて『ホテル業魔殿』へ向った。

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  1. 2006/11/03(金) 14:26:13|
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あるサマナーの生涯4


「いらっしゃいませ、御予約の御名前をお願いします」

「あ いや、予約は無いんだが」

「申し訳ありませんが、当ホテルは完全予約制ですのでお引き取りください」

「メアリ、どうやら彼は、我輩の客人の様だ奥にお通ししなさい」

「失礼しました、どうぞ此方です」

そう言ってメアリと呼ばれた少女は此方を一瞥もせず奥に進んでいく。
あまり女性を不躾に観察するのもどうかと思うが、どうも彼女はあまり人間という感じがしない。
色白の女性はいるだろう、あまり表情の動かない女性も居る、無愛想な女性も居る、だが彼女は人間としての気配というか空気のようなものが非常に薄いような気がするのだ。

先程の銀行員のこともあるし、もしかすると今までに出合った店員達も悪魔だったのかもしれない。
良く考えるとそうだ、あの放送を信じるなら・・・・いや今更疑ってもしょうがないだろう。
とにかく地上があんな状態なのにたった1年間の訓練期間の間だけのためにこんなダンジョンに来る理由が無い。

この状態が続いて永住できるなら話は別だろうが。
そんなことを考えている内に着いたようだ。
俺の目の前には、今重厚な造りの扉が立ちはだかっている。
この向こうに、このホテルの主人が居るのだろう。

メアリは、この扉の前に到着すると同時にホールの方に戻っていった。
このままこうしていても仕方が無いので、扉を開けよう・・・・・・怖くは無い


「業魔殿に、ヨーソロー」

なんなんだこの怪しい赤マントの人物は!
まさかこの男がこのホテルの主人なのか・・・・人生の理不尽を感じる

「良くぞ来た若きサマナーよ」

「まずは名を聞こう」

「俺は、ロバート・デ・船岩です」

ここでようやく俺の名前が出てきたので、いまさらだが軽く自己紹介しておこう。

俺の名前はロバート・デ・船岩、年齢は24歳で、もうそろそろ若きサマナーと呼ばれるのも苦しい歳だ。
名前からも解るように親父がアメリカ人で婿養子、母は中流家庭の箱入り娘おかげで散々いじられてきた。
まあ、体はでかかったので苛められはしなかったのは幸いだった。
だが、ハーフにもかかわらず英語はまったく話せないなのにあだ名は
『フィネガン』だ・・・・・・・・なんか泣きたくなってきた。

「では用件を聞こう」

「このメリケンサックの使い方を聞きに来ました」

「使用方法は簡単だ、まずメリケンサックと一緒に入っていたサングラスをかけてみたまえ」

言われた通りにサングラスをかけてみるが、光が遮られる様子は無い。
外して見てみたが、サングラスは普通の黒い物だった。

「そのサングラスはそれを透して見た悪魔の詳細なデータを映す優れものだ。
もちろん、普通のサングラスとは違い光量は自動的に調節される、つまり眩しい時には暗く、暗い時には明るくなると言うことだ。

次にそのメリケンサックだが、スイッチやボタンは一切無い。
『悪魔召喚プログラム』はそれを構成している金属に直接練り込まれているため、そのまま武器として使用できるようになってある。
ちなみに精製法は秘密だ。

『COMP』としての機能は、音声入力で使用できるようになっている。
悪魔と会話する場合は直前に『TALK』召喚する場合は『SUMMON』指示を出す場合は悪魔に直接、指示を出せば伝わる」

「なるほど、よく解りました」

「そうか、理解してもらえたか・・・・
それでは、船岩よ我輩の頼みを聞いてもらうぞ。
何 難しいことではない、その『COMP』を使い悪魔を仲魔にしてここで、悪魔合体をしてくれれば良い。
大抵の場合、悪魔合体した悪魔はより強力な悪魔になるのだからお前にとっても悪い話ではないはずだ。」

「そうですね、では悪魔を何体か仲魔にしたらまた来ます」

「では、また会おう船岩よ」

そうして俺は、他の訓練生が何人かのグループに別れてパーティを編成していることにも気づかずに9階層への階段をゆっくりと上って行った。
  1. 2006/11/03(金) 14:26:55|
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あるサマナーの生涯5

甘かった・・・・・

業魔殿の主人(あ、名前聞くの忘れた)から聞いた『COMP』の性能に浮かれていたのかもしれない、碌な準備もせずに悪魔の徘徊する9階を一人でうろつくなんて、今更だが激しく後悔している。
今、俺の前には3匹の悪魔が立って、それぞれが互いを牽制しながらこちらに近づいて来る。

できれば今直ぐにも逃げ出したいのだが、ここに来るまでにも何度かの戦闘を繰り返したため、もはや彼らから無事に逃げきれるとはとても思えない。

3匹の悪魔は、もう直ぐそこまで来ている。

どうやら彼らは、誰が俺を殺すかで揉めているようだ。
もはや、これまでかと諦めの表情を浮かべながら、こうなってしまった経緯を思い出していた・・・・・・・・・




俺は業魔殿を出て9階層に来たが、殆ど何の準備もしていないことに若干の不安を感じていた。

だがまあ、この『COMP』の性能が確かなら心配は無いだろう。
何しろこれから戦うであろう悪魔を召喚できるのだから、その中に自分が参加すればまず負けることは無い。

一応俺には、親父仕込みのアメリカンボクシングがあるから戦闘で足を引っ張ると言うことは無いだろう。
その意味では『COMP』がメリケンサック型だったのは幸いだった。
銃ならばともかく、剣やら槍、鞭など持たされても碌に訓練も積んでいないのに、まともに扱えるとは到底思えないからだ。

そんなことを考えているうちに結構奥の方まで来てしまった様だ。
幸か不幸かここに来るまでに一度も悪魔に出合っていなかったせいもあるだろうが、それにしても何かを忘れている気がする・・・・・・

「ああああ!! しまった、マップ作るの忘れてた!!」

俺の魂の叫びに反応したのか、突然今までかけっぱなしにしていたサングラスにマップらしきものが浮かび上がってきた。

「オートマップ機能まで付いてんのか?」

そう言った途端映し出されたマップが消えた。

「もしかして・・・・・・・・マップ」

やはりマップが浮かび上がってきた。
どうやら『ホテル業魔殿』の主人が言い忘れていたようだ。
いや、この程度のことには自分で気付けということなのかもしれない。
この分だと他にも色々機能が有りそうだ。

「これで帰りも安心だな」


そうこうしている内に右の曲がり角から1.5リットルのペットボトルサイズで、赤い髪に尖り耳おまけに瞳の色は青色だ、緑色の服を着て背中から羽の生えている少女が出てきた。

悪魔と言うにはあまりに可愛らしい姿だったので、まず会話をしようと彼女に話かけようと視線をあわせると、サングラスに彼女のデータらしきものが浮かび上がってきた、と同時にマップが消える。

「種族・妖精

 名称・ピクシー

 LV・2

 属性・NEUTRAL

 相性・?

 特記・?       」

「ピクシーか、結構有名な奴だな」

種族と名称それにLVは解るが、他は一体何なんだろう、特に属性・NEUTRALと言うのが解らない。

まあ、今は気にしなくても良いだろう。
兎にも角にも会話をしないとな

「TALK ピクシー」

「きゃはははは、まんまるお月さんきーれいーだなー」

この地下ダンジョンで月なんか見えるはずが無いのに何を言ってるんだ? とにかく返事をしないとな。

「本当に綺麗な月ですね」

「でっしょーやっぱ、お月さんは、まんまるが1番よねー・・・・・・あれれ・・・・あんた人間よねーなんで月が見えんのよー!!
嘘ついたわね!! 皆やっちゃえー」

そう言って、ピクシーは飛び掛かって来た!!

その小さな身体のどこにそれだけのパワーがあるのかと思うほどのスピードで、顔をめがけてキックを繰り出してきた。

そのキックを紙一重で避け、おもわずカウンターパンチを思いっきり放ってしまった。
あ、と気付いた時には遅くピクシーは青い霧状の何かになっていた。

まあ、やってしまったものは仕方ないと諦め、床に落ちている赤い金属片のような物を拾う。
おそらくこれが、生体マグネタイト結晶だろう。

俺はリュックを持っていないので、とりあえずジャケットのポケットに入れておく。
そして、立ち上がろうとした時、突然全身を強烈な電撃が襲った。
何事かと痺れる体を無理に動かして、右の曲がり角の先を見ると・・・・・・・・・・・・・・・・

先程のピクシーと同じ格好だが、瞳の色だけが赤いピクシーと青い瞳のピクシーが2匹飛び掛かって来た。

「よくも仲間をー!!」

と、若干力の抜けるような声で叫びながら、殴る蹴るの暴行を加えてきた。
これは会話は無理そうだなと思いながら良い様にやられていると、だんだんと痺れが取れてきた。

幸い、怒りに我を忘れているのか先程の電撃攻撃はこない。
それに殴られた場所も少し痛みはあるが、戦闘に耐えられないほどではない、散々にやられて逃げる気にもならないので、
少し罪悪感を感じないでもないが彼女達にも、生体マグネタイト結晶になってもらうことにした。

「ちくしょーおぼえてろよー」

初めに叫んでいたピクシーを一発で仕留めて、もう一匹もと思ったら捨て台詞を残して後ろも見ずに逃げていった。

取り敢えず生体マグネタイト結晶を拾って、一旦10階層に戻ることにした。
このまま進むのは、いくらなんでも危険だからだ。
今の戦闘にしても現れたのが頭に血が上ったピクシーだけだったから何とかなったが、もし他の冷静な悪魔が一緒だったら恐らく死んでいたのは俺だろう。


そういえば、せっかく『COMP』が有るのに一匹も悪魔を召喚してないじゃないか。
やっぱり、初めての戦闘で緊張していたのかもしれない。
これではデビルサマナーではなくただの拳闘士だ。
では、早速召喚するとしよう。

まずはさっき倒したピクシーにしよう、いきなり強い悪魔を召喚して殺されてしまっては目も当てられない・・・・・・・・怖いわけじゃないぞ

「SUMMON ピクシー」

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・

・・



あれ、もしかして壊れた?
試にもう一度、今度はゴブリンでやってみよう

「SUMMON ゴブリン」

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・

・・



やっぱりだめだ。
これはもう急いで戻った方が良いだろう。
『COMP』がこれではこれ以上ここに留まるのは非常に危険だ、まだ9階層とはいえやはり一人ではこの階の攻略は無理だ。

「マップ」

まったく、これでオートマップが使えなかったら死んでたな・・・・・・・
悪魔は甘くないということだな。


その後幾度かの戦闘を経て、なんとかあと扉一つ越えれば取り敢えず安全だと思える所まで来た。
ここに来るまでの間にした戦闘でもたいした傷は負わなかったが体力が、もう限界だ、だがこれでもう大丈夫だと思った時その叫び声が聞こえた。

「ついに見つけたわよ!このクソ拳闘士!!」

なんださっきのピクシーか、これならなんとかなるかなと視線を上げたときに見えたのは、ピクシーと地霊ノッカーそれに魔獣ギャリートロットだった。

それを見た瞬間、俺を絶望にも似た感覚が包み込む。
ノッカーとピクシーは油断さえしなければなんとかなるが、ギャリートロットはまずい。
ここに来るまでに一度遭遇したが一対一であったにもかかわらずえらく苦戦したのだ。

「ふふん、とうとうあんたも年貢の納め時よ! あんたの生体マグネタイトを最後の一欠けらまでしゃぶり尽くしてやるわ!!」

などと微妙に卑猥なことをいいながらこちらに近づいて来る。

「ちょっと待つんじゃ、それでは話が違うのう」

「ソウダ! コロシタニンゲンノ MAGハ オレサマノモノ」

「何いってんのよ! あいつは私の獲物なんだから、あんたらには指の一本もやりゃしないわよ!!」

「なんじゃと!!」

「ユルサン!!」

「なによ!!」

どうやらここにきて仲間割れを始めた様だ、これならなんとかなるかもしれない。
今までの戦闘で解ったことだが『COMP』の機能で使えないのは、召喚機能だけらしい。
会話機能は初めの戦闘から点けっぱなしだし恐らく契約機能は大丈夫だろう。

見たところピクシーはともかく、ノッカーとギャリートロットは生体マグネタイトが目的のようだ。
今までの戦闘で手に入れた生体マグネタイト結晶がそこそこ有る、これでなんとか交渉できないだろうか・・・・

「兎に角!! あんた達にあいつを渡すわけにはいかないわ」

「あのー ちょっと良いかな」

「何よ!!」

「いや、君じゃなくそちらのお二人に話があるんだけど」

「ほうお主、わし等の言葉がわかるのかの」

「ええ、これでも一応デビルサマナーですから」

「デモ オマエ ナカマ ツレテナイ」

「ちょっと召喚機能が故障中でして」

「で!! そのサマナーが何の用!!!」

ここでピクシーが突っかかってきた。
交渉の邪魔だし殺しとくか・・・・・・・・・・・
いかんいかん、悪魔を何匹か殺したせいか思考が殺伐としている。
それにここでピクシーを殺すと、他の2匹が引いてしまうだろう。

「それが俺、実はまだ悪魔を仲魔にしたことないんですよ。

だから皆さんに仲魔になってもらえたらなーなんて」

「わしを仲魔にしたいと・・・・・良いじゃろう。
見たところまだ新米サマナーの様じゃし色々と教えてやろう」

「アオーン オレサマ ナカマ ナラナイ オマエコロシテ MAGクウ」

「ちょっちょっと待って下さい。
あのノッカーさんMAGって何ですか」

「なんじゃ、そんなことも知らんのか。
MAGというのは生体マグネタイトが結晶化する前の青い湯気のような物じゃ」

「あーあれですか、そうだ! ギャリートロットさん俺と一緒に来れば幾らでもMAGが食べられますよ」

「ウウウウウ ドウイウコトダ」

「俺はこれから地上を目指しますので、その途中で何度も悪魔殺しをすると思います。 
だから一緒に来ればMAGを食べられるということですよ」

「ムムムム シンジラレナイ ショウコヲミセロ」

ポケットに入れておいた生体マグネタイト結晶を見せると、ギャリートロットは踊り出した。

「アオーン イイダロウ オレサマツイテイク」

「それじゃあ契約ですね」

「うむ、地霊ノッカーじゃ。あまりこき使うなよ」

「オレサマ 魔獣ギャリートロット。コンゴトモヨロシク」

彼らが自己紹介をすると同時に、光の玉になってメリケンサックに吸い込まれてゆく。
そして、サングラスに『SUMMON』OK、ノッカー、ギャリートロットという文字が出てくる・・・・・・・・・故障じゃなかったんだ

「ひ、卑怯よ! 三対一なんて」

今回は逃げ出さなかったのか、自分のことを棚に上げてそんなことを言ってくる。

「黙れ! 死にたくなかったら、仲魔になるんだな!!」

もはや此方の方が圧倒的に有利だ。
とことん威圧的に言ってやったのだが何故か感動している様だ。
・・・・・・わけが解らん。

「私はあんたを殺そうとしたのに、助けてくれるの」

なるほどそういうことか、途中殺そうとしたんだが・・・・・・・・

「良いわ、私あんたの仲魔になる」

「では契約を」

「私は妖精ピクシーよ。
エッチなことはしないでね」

ピクシーがメリケンサックに吸い込まれるのを待って、10階に戻ることにした。
ここからなら結界の有る階段までは、目と鼻の先だ。


もう直ぐで結界に入るというところで、聞き覚えのある悲鳴が聞こえてきた。

「誰か助けてー!!殺されるー」

やはりと言うかなんというか、その悲鳴の主はミスターローターだった。
どうやら彼も碌な準備もせずこの階層に来たようだ。
俺は『COMP』が武器の形だったので何とかなったが、
彼の『COMP』は例のアレだ。

とてもじゃないが戦闘などとても無理だ、よく見ると彼を追い掛け回しているのは、ピクシーばかりが20匹程だ。
大方、交渉に失敗したのに懲りずに何度も話かけているうちに仲魔を呼ばれたのだろう。

「待てーこの変質者ー私をそんな所に入れようとしやがってー!!」

もしかしたら交渉自体は旨くいったのかもしれないが、女性型悪魔にあんなものを見せればこうなるのかもしれない。
暫く様子を見ていたが、ピクシーも電撃魔法を使う様子もないし、幾らピクシーに殴られても死にはしないだろうと判断して、俺は10階に休息に向うことにした。

・・・・・・・・・・・生きてて良かった
  1. 2006/11/03(金) 14:27:30|
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